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コンコン 突然聞こえたノックの音に一瞬ビクリと驚いた。 「遥くん、入るよ」 「し、おり?」 さっきまで寝ていたからなのか枯れた声になった。 栞はドアを静かに開き部屋の電気をつけた。 さっきまで寝ていたからか一気に明るくなった部屋に思わず目を瞑る。 「あぁ、吃驚した?ごめんね」 まだ、栞の顔がよく見えない。 「もうすぐ7時だし起きそうだったらご飯食べるかなって思って」 「あれ…?俺、なんで家に?」 声はまだ掠れている。何度か咳き込むと栞がペットボトルの水を飲ませてくれた。 「なんで、って遥くん家の前で倒れてたんだよ」 「家の前で?」 そうだったっけ?さっきよりも今までの経緯が思い出せない。 「多分脱水症だってさ。遥くん、家を出てからちゃんと水分はとった?」 「あ」 そういえば飲んでいない。だから口の中がこんなに乾いてたのかな。 でも、何か、他に思い出すことがあったような… 「まだ顔色が悪いみたいだね。遥くんは明日も学校があるし今日のところはもう寝た方がいいね」 栞はぽんぽんと優しく頭を撫でてくれた。 「あ、そういえば栞、今日仕事なんじゃ」 朝、今日は昼過ぎから明日の夕方?まで仕事だ…って言っていたのを思い出した。 「ちょっと、いろいろあってね」 いろいろ。栞がこうやってはぐらかすことはよくある。 「今日はもう、仕事いかない?」 いつもはこんな子供っぽいことは聞かない。けど今日は、今は、起きたら栞が居ないことが不安で仕方なくて、つい聞いてしまった。 栞は少し驚いた表情をしたけど直ぐに俺を安心させる時の笑顔に戻っていた。 「あぁ、今日と、それから明日も家に居るつもりだよ」 「それなら、よかった」 一安心したら不思議と眠くなってきた。さっきまで寝ていた筈なんだけど脱水症で体力が無いのかもしれない。 「もうお休み。俺は隣の部屋に居るから何かあったら呼ぶんだよ?」 俺はコクリと頷いた。 栞が電気を消して部屋から出ていくと俺はそのままゆっくりと眠りについた。
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