哀愁のある背中が爆発

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 天使。それはもっと神聖で、もっとか弱く美しく、たおやかな存在だと認識している。  あたしの視界を陣取っている小汚いおっさんには、断じて相応しい言葉ではない。  だのにコイツは、恥知らず且つ無礼千万にも天使を名乗りよる。一体何者だ。 「だから、天使だって」 「じゃあ、その薄(ぎたね)ぇ羽らしき珍物はなんだ」 「汚いのは君の口じゃないか……。これは正真正銘の天使の翼さ」 「黒ずんでるけど」 「言い方! ボクも気にしてるんだから。周りにこうなった天使いないし」  確かに周りを優雅に浮遊している方々は純白の翼を持っていらっしゃる。つまり、 「堕天――」 「あーあーあー! 聞こえぬぞ! うぬの声など聞こえぬ」  天使の現実逃避なんて初めて見た。 「もうお前が堕天使とかどうでもいいから。あたしのこと何でも知ってるんだよな?」 「結局言っちゃったよこの子!」 「死因も当然、判ってるんだろ?」  オジ天はむすっとして、暫く間を空けてから答えた。 「爆死だよ」
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