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終章.そして彼女の地獄は続く
私が竜花の死を知ったのは、全てが終わった後だった。
瞼を開いて飛び込んで来たパパとママの顔。
そこに、いつもはない喜びの色が浮かんでいる事に気づいて、
何が起きたのかを悟ってしまった。
結局、竜花はズルをしたのだ。
竜花の最後は壮絶だった。
聖母のような笑みを浮かべ、自ら脳天をかち割ったらしい。
頭から血を噴出して倒れた床に、血がじわじわと染み出して。
まるで真っ赤な華みたいだったそうだ。
なんでそんな死に方を。
なんて、そんなのわかりきっていた。
私のためだ。できるだけ心臓を綺麗な状態で。
新鮮な心臓を届けるために竜花は逝った。
臓器移植は成功してしまった。そりゃそうだ。
元々権威となる先生が居たからこの病院にしたのだから。
私はあっけないほど簡単に死の運命を脱却し、
今もこの世界に独り生きている。
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