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祈り、あるいは呪いの言葉を流し込まれて、
私はただ嗚咽しながら首を縦に振る。
そう、彼女の物語はここで終わった。
でも私の物語はまだまだ続く。
『彼女の死んだ理由』として、彼女がくれた心臓と共に、
この地獄を生きていかなくちゃいけないんだ。
ああ、でも。
(死にたいなぁ。そしたら竜花に会えるのに)
不意に、胸が酷くきしんで疼いた。
まるで竜花が怒ってるみたいだ。
痛みに胸を押さえながら、私はもう一度薄く笑った。
(わかってるよ。ちゃんと寿命はまっとうするから)
(たとえ、どれだけ苦しくても)
さあ、頑張ってこの絶望の中を生きて行こう。
私が竜花のためにできる事は、もうそれくらいしかないのだから。
歯を食いしばって前を向く。
人生と言う名の地獄は、まだまだ先まで続いていた。
(完)
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