序章.この物語を読むあなたへ

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 人は生まれ落ちそして息絶える。 皆が皆命の炎を懸命に燃やし、 最後にはその(ともしび)をふっとかき消す。  死ぬ理由、というか原因は様々だろう。 病死、事故死、他殺、自殺、果ては老衰。 だが、全ての死は二種類に振り分ける事ができる。 『自ら死を選べた』か、だ。  しかしながら、この分類はあまり興味を引く結果にならないだろう。 死にたい者などほとんどいないからだ。 皆が皆、生きたいと声を絞り出しながら(むくろ)となる。  心身を限界まですり減らし、果てに自殺を選ぶ者でさえ、 死を望むから死ぬのではない。 死よりも苦しい生から逃避するために、 仕方なく首に縄をかけるのだ。  だが。どんな話にも例外はある。  これから語る物語。それは、先の分類で圧倒的少数派となる 『死を選べた』側の少女の話。  彼女は語る。もし『私を一冊の本にしたら、 その締めくくりはハッピーエンドになるだろう』と。  個人的に異を唱えたい。 『君を紡ぐ本は純然たるバッドエンドだった』 そう声高に主張して回りたい。 だが私一人の判断で断定するのは尚早(しょうそう)だろう。  ぜひ読んでみて欲しい。彼女がいかにして生き、 いかに死んでいったのか。そして願わくば彼女に追悼を。 私と共に肩を震わせてくれる事を切に願う。
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