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共感できる人が居るなんて思わなかった。
生きる事に罪悪感を覚えて、
迷惑をかけるなら死にたいとこいねがって。
でも生きて欲しいと願う父を前にしたらそれすらも罪悪で、
言えない思いをひた隠しにして生きてきた。
こんな罪深い思いを抱いているのは、
きっとこの世に私だけなんだろう。
なんて、悲劇のヒロインをきどりながら。
でも違った。居たんだ!
私と同じように短命に生まれ落ち、死に希望を見出す人が!
生に罪悪感を見出し、死に安寧を求める人が!
私は……私は孤独じゃなかった!!!
「え、ええと、ナースコール押すね!!」
「あ、え、ちが、違うんです!
ただ、ただ、うれ、嬉しくて……!」
枕元のナースコールに伸ばされた彼女の手が止まります。
彼女の顔から不安が消えうせ、
代わりに伺うような表情が浮かんで。
少しだけ低い声で、彼女は私に問い掛けました。
「嬉しいって……何が?」
「そ、の。同じ、気持ちの人が、い、居たんだって」
そしたら彼女は破顔して、ほどけんばかりの笑顔になって。
ぽつりと、胸の内を明かすようにこぼしたのです。
「やっぱりね。最初見た時から、
お仲間じゃないかって思ってたんだ」
「私、ユズリハ!推定寿命十五歳!
病名は心臓病!あなたは?」
「りゅ、竜花です。寿命は、私も長くて十五かと。
病名は腎臓病です」
絶望的な二人の出会い。死の臭いが纏わりつく彼女。
でも私は生まれて初めて。
彼女に希望を見出したのでした。
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