御堂刹那

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 それにしても、と刹那は思う。  夢に殺された、か……    夢が在るのは良い事のはずた。   しかし、あの幽霊が途中で夢を(あきら)めていたらどうだろう?  彼女は今も元気に生きていたのではないか?  ひょっとしたら、新しい恋人ができて幸せな人生を送っていたのかもしれない。  しかし、彼女は生まれ変わっても、また同じ夢を追いかけるとも言った。死んでも芝居をやりたいと。  凄まじい執念とも言える。    お芝居か……  ピンと来ない。  そもそもアイドルも成り行きで始めた。  今回の舞台も精一杯がんばろうと思うが、何か思い入れがあるわけではないのだ。  だから、執念と呼べるほどに夢中になれる明確な目標を、夢を持っていた幽霊が羨ましい。  たとえ夢が理由で死ぬことになっても、本望なのかもしれない。  お芝居か……   再び刹那は心の中で呟いた。  これから自分も舞台に立つが、その魅力を理解する事が出来るのだろうか?  刹那の役者として、アイドルとしての人生は始まったばかりだ。                              -fin-
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