第1章 なんで私の名前知ってるんですか

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「全員会社の人。久我(くが)さん、蓮見、檜山(ひやま)、以上」 「点呼ちゃうんすから、ちゃんと紹介してください」 関西弁混じりのイントネーションで短髪の人懐っこい顔をした男性が、こちらへやって来た。 「夏川(なつかわ)さんと一緒に住んでる双子さんですよね?」 夏川は私達の名字だ。 どうやら双子で一緒に住んでいることは伝えてあったらしい。 「俺が檜山で、一番後輩っす。 あの背ぇ高くて、髪長いのが久我さん、29才、彼女募集中なんで良い子いたら紹介してあげてください」 「ひ、檜山、僕はそんな彼女とか、大丈夫だから」 恐る恐る言う久我さんに対し、「言うたもん勝ちっすわ」と彼の肩を組む檜山さん。 うん、どっちが後輩か分かんないな。 「紗奈、もう部屋行ったら?」 颯汰が気を利かせたのか、そう声をかけてくれた。 「うん、そうする。みなさんゆっくりしてってください」 約一名以外は、と心の中で付け足し、そそくさと退散しようとしたそのとき。 「紗奈ちゃん」 呼ばれた! …だがしかし、振り向かないぞ!
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