第10章 過去、そして現在へ

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それから一ヶ月後、木本が彼女と別れたという話を耳にした。 この一ヶ月間、ずっと頭の片隅に彼女の残像がいて、俺の中から消えてくれなかった。 偶然出会えたことに、やはり運命的な何かを感じずにはいられない。 ………運命だとか思うなんて、俺の思考回路はあのときから成長してないな。 自嘲気味に小さく笑ってみたが、この感情は消え去ってはくれない。 また会えるかもしれないという期待と、また会いたいという願望が俺の中で大きく成長する。 初めて俺の内面を褒めてくれた女の子。 その子を探そうと決めた。 前にあの辺をぶらぶらとしてたってことは、今住んでいる場所もここからそう遠くないだろうし。 ーーーーだが、そう決意した次の日だった。 上司から、隣県の支店へ転勤の話を告げられたのは。 断るという選択肢はなく、心ここに在らずで承諾の返事をした。 また、隣県といえど、今住んでいるところから通うことは不可能だったので、引っ越しをしないといけないという事実がまた心に重くのしかかる。 しかし諦めたくなかった俺は、大学時代の友人に木本の元カノについてさりげなく聞いたり、前に会った場所へ行ってみたりもした。
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