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コツコツコツコツ……
胸元まである綺麗に巻かれた長い髪を揺らしながら、高いヒールを鳴らして歩く。
最近引っ越してきたばかりのマンションに到着し、部屋の鍵を開けた。
玄関に男物の靴が何足か並べられているのが目に入る。
颯汰の友達来てるのかな?
颯汰とは、一緒に住んでいる双子の弟の名前。
心配性の両親が、二人で住むことを実家から出る条件としたので、2LDKの部屋を借りて二人暮らしをし始めたのだ。
自分の靴を脱ぎシューズクローゼットへ入れる。
そこまで終わったところで、お手洗いから男性が一人出てくるのが見えた。
「こんばんは」
身内の知り合いであろうその人に、とりあえず挨拶をしておく。
すぐに挨拶を返してくれることを想定していたが、なぜか彼は無言だ。
私のことをじっと見つめて、驚いた表情をしている。
……え?なに?
どうしていいか分からず固まってしまい、結果的に暫しの間見つめ合うかたちになる。
「見つけた」
男性は急にこちらを指差すと、呟くようにそう言って近付いて来た。
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