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近くに来て、その人の顔がハッキリと見え思わずドキッとした。
奥二重で色素の薄い茶色い瞳に、スッキリとした高い鼻。左右対称の端正な顔立ちで、緩くパーマがかかった髪がより一層彼の魅力を引き立てている。
正直に言って、ドストライクの顔だった。
そんなことを考えていると、急に体に浮遊感を感じた。
「え?………きゃぁぁぁぁぁ!!!」
私の叫び声を聞いて、リビングから颯汰が顔を出した。
「大声出してどうしたの?…ってなんでお姫様抱っこしてんの?」
そう、私はなぜか彼にお姫様抱っこされている。
「ちょっと!下ろしてよ!」
叫びながらバタバタするも、逆効果だったようで余計に強く抱き寄せられ、彼の柑橘系の爽やかな香りが鼻をかすめた。
「ダメ、やっと見つけたんだから」
綺麗な笑顔で微笑まれ、恥ずかしくなり思わず顔をそらす。
そりゃあ、確かにお姫様抱っこは小さい頃からの夢だったけど、初対面のしかも見ず知らずの人にその夢を奪われるなんて!!
顔だけは無駄にイケメンということが唯一の救いだ。
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