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「もしかして、前に言ってたあれ?」
颯汰が尋ねると、彼は嬉しそうに頷いた。
「まさかこんなところで俺の運命の人に会えるなんてね、紗奈ちゃん」
「なんで、私の名前…」
「さぁ?なんででしょう?」
なんだか怖くなり「颯汰ー!助けてー!」と叫ぶも、数時間違いで産まれた弟はすでに背を向けリビングへ戻ろうとしている。
「颯汰に売られた!人身売買だー!!」
「ははっ、大丈夫。俺が買い取ってあげるから」
ひっ、と小さく悲鳴をあげて顔面蒼白になった私は、そのまま彼にリビングまで運ばれた。
リビングへ入ると、他にも男性が二人いた。
「じゃーん!」
「じゃーん、ちゃいますよ、蓮見さん。なにやってんすか?」
どうやら、私が売られた先のこの人は蓮見さんというらしいが、記憶を辿ってみてもその名前に思い当たるものは無かった。
「あ、あの、下ろしてあげた方がいいんじゃないかな?」
もう一人の男性も蓮見さんに声をかける。
そうだ、グッジョブだ!もっと言ってやれ!
心の中で二人に声援を送る。
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