第1章 なんで私の名前知ってるんですか

5/25
前へ
/189ページ
次へ
「彼女が、やっと見つけた運命の人なんだ」 「あー、あれほんまやったんすね」 「あぁ、彼女が」 なぜか二人とも納得している。 負けないで!と思ったとき、颯汰が蓮見さんの腕をバシッと叩いた。 私は持ち前の微々たる運動神経を活かして、なんとか無事に床へ着地する。 「さすが颯汰!信じてたよ!」 「いや、売られただの人身売買だの言ってただろ」 急いで颯汰に駆け寄るも、軽くあしらわれる。 「てか、元はと言えば颯汰がこの変質者をうちに入れるからこんなことに!」 逆ギレしながら蓮見さんを指差すと、その手をぎゅっと彼の両手で握りしめられた。 再度身の危険を感じて、さっと手を振り払い颯汰の後ろに隠れる。 「あはは!蓮見さん、めっちゃ逃げられてますやん!」 「大丈夫、照れてるだけだ。そのうち向こうから来てくれる」 「行きませんから!そもそも、誰なんですか?!」 私が怒鳴ると、颯汰は「あ、そういや言ってなかった」と思い出したように言う。 初めましての人達の前で叫ぶという醜態を晒した恨みを込めて、颯汰を睨むように見た。
/189ページ

最初のコメントを投稿しよう!

725人が本棚に入れています
本棚に追加