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いつだったか聞いたことがある。
『雨の最初の一粒には、願いを叶えてくれる妖精が住んでるんだ』
子供相手のおとぎ話。
それは分かっているんだけど。もし、本当に妖精が住んでいるのなら。
もし、願いを叶えてくれるのなら。
「ほら、やっぱり雨降ったろう」
「…………!?」
突然の声と同時に頭の上に掲げられた雨傘に俺は驚いて振り返った。
「人の忠告はちゃんと聞かなきゃ。琉」
「か……叶多……?」
一瞬、雨の妖精かと思った。
叶多は、いつも持っている内側に星座の絵が描かれた黒い雨傘を差して俺ににこりと微笑みかけていた。
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