2人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
「いいから。じゃあ、それが俺の願い事。俺の肩にもたれて寝なさい」
「ね…願い事……?」
「そう。さっきお前言っただろう。妖精らしく願い事叶えてやるって」
「そりゃ言ったけど……それが願い事なの?」
「そうだよ。悪いか」
俺は口をへの字に曲げて、憮然とした表情をした。
「変な願い事」
「いいだろ。どんな願いでも。何でもいいって言ったのそっちだぞ」
叶多はついに吹き出すように笑い声をあげ、そのままの勢いで俺の肩にコトンと頭をもたせかけた。
「はいはい。では、お言葉に甘えて。願いを叶えさせていただきます」
ドキンと心臓が飛び上がった。
「あ……ああ」
声がひっくり返らないようにするのに必死になってしまった。
肩口に触れる叶多の重さ。鼻先をくすぐる栗色の髪。シャンプーの匂い。いや、これは叶多の匂いだ。
暖かくて爽やかで優しい、叶多の匂いだ。
再び心臓が跳ね上がる。
俺はそっと向側の叶多の肩に手を添えた。叶多が可笑しそうに目を閉じたままくすりと笑う。
「別にそんな壊れ物扱うように触らなくても大丈夫だよ」
「あ……う、うん」
肩を抱く。
心臓が早鐘を打つ。
この音が聞こえるんじゃないかとドキドキして、それが更に拍車をかける。
最初のコメントを投稿しよう!