願い事ひとつ

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 本当に眠っているのかどうかは定かじゃなかったけど、やがて、叶多が安心したような表情で、ふうっと小さく息を洩らした。すると、肩にかかる重みが少しだけ増す。  本当に寝不足で疲れてたんだなあ。そう思いながら、俺は叶多の身体を支えたまま、そっと叶多の顔を見下ろした。  閉じられた叶多の目。ふだんはあまり見ることのない少し幼いような表情。  思わず俺は目を細める。  何だか眩しくて。何だか嬉しくて。何だか切なくて。  そばにいる。触れている。  それだけで、どうしてこんなにドキドキするんだろう。  こんなに毎日顔をあわせているのに、どうして、こんなことで自分は心臓が飛び上がるくらい緊張しているんだろう。  どうして、こんなに。  こんなに好きなんだろう。  こんなに、こんなにまで、好きなんだろう。
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