願い事ひとつ

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『~次の停車は、南公園前~』  バスの降車案内の電光掲示板に流れたテロップを見て俺は叫び声をあげた。 「うわぁ! ごめんっっ叶多!」 「……えっ?」  眠っていた叶多が目を覚まし、驚いて顔をあげる。 「何?」 「悪い。乗り越した」 「……へ?」  慌てて二人して窓の外へ目をやると、遥か後方へ見覚えのある俺達の学生寮の屋根が段々小さくなっていくのが見えた。 「……あ」 「ご……ごめんっっ」  言ってる間に、寮の姿は雨の煙に霞んで消えていく。  どうやらバスに乗り込んだ頃より更に雨も激しくなってきたようだ。
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