[ファルサ]

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「なんだろう……ここは……」  上り始めた最初は、ただの真っ直ぐな階段に見えていたはずなのに、いざ上りだすとそれはいつの間にか右に左にと曲がり始め、そのうち上っていたはずが気が付くと下っている。そしてついにその階段は左右に枝葉のように分かれ始め、その先は小さな扉へと続く。  この塔に来た者が最初に戸惑うのは、この迷路だ。  さりげなく行く手を阻むようなこの仕掛けに、皆、必ずここで一旦足を止める。  そして迷うのだ。  この先に進むべきか否か。  さて、この少年はどちらを選ぶのだろう。  ユースは結局そのまま目の前の扉を開けた。  進むことを選んだのだ。 「……?」  だが扉の先にあったのは、同じような長い階段だった。
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