[プロローグ]

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「確かにこの塔の最上階へ行けば、それこそ、どんな無理難題だろうと、この世のあらゆる願い事が叶う。たとえば死んだ人間を生き返らせることでもな」 「…………!」  ぎくりと、ユースの表情が強張った。  やはり、そうか。  このユースという少年がいた東の村が、干ばつに襲われて慢性的な水不足だったことも、その所為で村人が亡くなっていることも真実だ。  ただ、彼が救いたいのは、村人ではない。  彼が救いたいのは、恐らく。
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