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私が張飛を殺すと決めたのは一昨日のことだ。
「将軍。皇帝から文が届いております」
「何?兄者から?」
張飛は配下の者から文を受け取る。そしてそれを読み終わると、声を上げて哭き始めた。そして立ち上がって言った。
「今、兄者から文が届き許しが出た。明後日、逆賊である呉に攻め入る。この度は関羽の弔い合戦じゃ。出陣の際は皆白装束を身に纏うように。范疆、張達、明後日までに1万着の白装束を用意しておけ」
私は張飛の発した言葉の意味を暫く理解できずにいた。張達も瞬きを繰り返している。
「どうした。返事をせぬか」
鋭い眼光で張飛は私達を睨みつける。私はおそるおそる口を開いた。
「恐れながら申し上げます。2日で1万着を揃えるのはいくら何でも無理がございます。せめて2週間、どんなに短くとも10日の猶予は頂きたく」
私がそう言い終わった瞬間、盃の割れる音が響いた。
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