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第三章 Kの正体
「K」からメッセージが途絶え、三週間経過しようとしていた。
侑香は机に頭を付けたまま、自分が書いた文章を眺めていた。
「おーい、侑香…大丈夫?」
香織が、侑香の頭をコツンと叩いた。
「桐嶋君から…返事が来ない…」
「侑香、何か変な事書いたんでしょ!」
「そんな事ない…と思う。直接話したいって…そう書いたのが駄目だったのかな?怒らせる様な事だったのかな?」
「…でも、侑香と話したいって言ってきたのって、元々その『K』からだし…」
二人は頭を抱えた。特に不安で押し潰されていた侑香は、胃がチクチクと傷む程悩んでいた。
「あ、侑香!次、音楽室だから、そろそろ行かないと遅れちゃう!」
侑香は、机に頭を付けたまま、微動だにしなかった。
「香織…ごめん。さっきから具合悪くて…保健室行ってこようかな…」
「え、大丈夫!?あまり悩み過ぎたら、身体にガタが来るよ!保健室、一人で行ける?ついて行く?」
「ううん、一人で行ける。香織、先生に休む事伝えておいてくれる?」
「任せて!じゃ…私そろそろ行くから、あまり考えすぎるなよー!」
香織が大きく手を振って、教室から去っていった。
授業のチャイムが鳴った頃、侑香は保健室へ行き、一時間だけベッドで寝させてもらうことになった。
あまり考え過ぎない様、香織から言われていたもの、頭の中はずっと「K」の事を考えていた。
嫌われたの、かな…。
もう、私には興味ないの、かな…。
私…何でこんなに「K」の事ばかり考えているの、かな…。
窓から入り込む微風が、保健室の消毒液の香りを舞い上げ、涙が伝った頬を優しく撫でた。
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