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第六章 恋の結末
「K」が「草刈」と判明した次の日、四時間目を終えた侑香は昼休み、一年四組へ向かっていた。
昨日の出来事を香織に打ち明け、話している内に、後悔がこみ上げてきた侑香。
勝手に草刈君を待ち伏せて、
勝手に言いたい事を言って、
勝手に困惑させて、
勝手に泣いて走り去った。
思い返せば、自分勝手な行動をして、草刈君が、言葉を発するタイミングを与えなかったのは自分だ、という結論に達した。
その事を謝る為に、一階下の階にある、一年生の教室へ走って向かった。
一つ学年が上の侑香と、廊下で通り過ぎるだけで、緊張感を持つ一年生。その姿を見て、草刈が昨日、言葉を発せなかった理由が、侑香は何となく分かった気がした。
「四組…四組…ここか」
教室を覗くと、数人同士が机を合わせて、グループを作ってお弁当を食べていた。しかし、草刈の姿は無かった。
侑香は、扉の正面にある、教壇に座ってパンを食べている男子に声を掛けた。
「ねぇ、ちょっといい?」
侑香が男子を手招くと、教室内がざわついた。
「せ、先輩が僕に、何の用でしょうか?」
「あの…草刈君いる?」
「草刈ですか?今日は来ていないですよ」
「風邪なの?」
「いえ…風邪ではないですけど、病院です」
「え…病院?」
侑香が、困惑した表情を浮かべた事に気付いた一年男子が言った。
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