元カノは魔王よりも怖い

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 あたりを見渡すと椅子と机しかない真っ白な空間である。 「ここはこの世とあの世のはざまに存在する世界。あなたを天国に送るか、地獄に送るかジャッジするところなのですわよ」  そんな説明を目の前の女性がしてくれた。やはり、俺は刺されて死んだのか。 「なるほど。あなたは神様か何かですか?」 「よく聞いてくれましたわ。私の名前はハーデスと申します。地球を担当している天使ですわ。以後お見知り置きを」  ハーデスという女性は立ち上がりお辞儀をした。ハーデスは自分を天使と名乗ったが、一見すると普通の女性にしか見えない。 「そうですか。それじゃ、俺は地獄と天国どちらに行くことになりますか?」  地獄は嫌だなぁ。まぁ、生前悪いことはこれといってしていないから大丈夫だと思うのだが。 「えっと、まずは経歴を調べさせていただきますわね。えっと、名前は赤沼誠也ですわね。小中高、平凡に生きてきて、高校卒業後に警備会社に勤務と」 「そうですね」  なんか面接みたいだな。 「一年前から板橋馨(いたばしかおる)と交際をはじめ、一ヶ月前に別れ、本日板橋に刺されて死亡と......」 「はい、そうです」  そう、俺は元カノに刺されて死んだのである。     
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