魔女の1

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「私が死んだ理由、い、一緒に探してくれませんか」 ドモったのがポイント高い。末尾の「せんか」に奥ゆかしさを感じた。 「え~と、どういう意味なのかな?」 唐突に訪ねてきた彼女を見た。 よくない運命の日には、とても寝起きが悪い。大概いつもそう。今日もそうだった。 「これです。これを書いたんです」 いきなり紙を広げた。 紙には“私が死んだ理由 岩永(いわなが) (つばさ)”と書いてある。 ()と同姓同名だけど……。 「ごめん、まだ状況と意味がつかめない」 「あっ、いきなりお邪魔します」 「お邪魔じゃないけどね。とりあえず上がってよ此花(このはな)さん」 僕は頭を掻きながら、気まずい表情で下唇を噛んでいる彼女を部屋にとおした。 彼女──此花桜子(このはなさくらこ)さんは、同じスーパーで働いているバイト仲間だ。 もっとも、あまり面識はない。 それなら、なぜアンダーネームまで知っているのか? 誰も見ていないときに、彼女のタイムカードを覗いたからだ。 それから丸3日間、羞恥心で悶々と苦しんだものさ。
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