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私は、今日、片想いを終わらせる。
二年半。それが長かったのか短かったのかは分からない。
それでも、今日終わらせなければならないのだ。
そう決めたのは、一週間ほど前のことだった。
十一月も終わりに近づき、それと共に大学受験も近づいていた。
冬休みが明けてしまえば、あとは数える程の登校日しかない。
あの人に会うことが確約された生活は、もうなくなってしまうのだ。
そう気づいた時、私は激しい焦燥感に駆られた。
あの人とクラスメイトだから、ほどほどに連絡を取り合う仲だから、何よりも私の気持ちを知っているはずだから、あえて言葉にするのを避けていた。
言葉にして、傷ついて、僅かな期待すら潰してしまうことはないと、自分を甘やかしていた。
しかし、それはきっと間違っていたのだ。
私の言葉で、終わらせなければ。
私はそれから必死で告白する方法を模索した。
手紙を書くことも、メールや電話で伝えることも、どれも私には後悔が残るものに思えた。
私の言葉で終わらせるからには、私の声で、あの人を前にして届けたかった。
それは最後の意地だったのかもしれない。
幸い私はあの人と二人になれるタイミングを見つけていた。
掃除当番の、ごみ捨て係だ。
それは男女一人ずつ一日毎に回ってくるもので、後にも先にも私があの人と二人になれるのはその日だけだった。
これは最後のチャンスだ。本当に、最後の。
私は覚悟を決めた。
もう後戻りはできないと、自分に言い聞かせた。
私の言葉を、あの人の表情を、突きつけられるであろう現実を、何度も何度もシミュレーションした。
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