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今日もまたトラックに一人
夜勤明けの午前五時。改札を出た瞬間。
ギャッと悲鳴が聞こえた。
かと、思ったのもつかの間。
大きな音と地響きがして
駅東口の牛丼屋にトラックが突っ込んだ。
現場は見通しのいい交差点で、残り三方が広々としたコインパーキングが面している。
つまり、よほどの馬鹿か故意でない限り、一軒家をクリティカルヒットするはずはないのだ。
わらわらと野次馬が集まってきてスマホで生中継したり、写真を撮っている。
さっさと通報しろよ。
「世も末だな」
俺は地下道を抜けて駅の反対側に出た。まもなく東口の方がぱあっとオレンジ色に染まった。
「やっべ」
俺が慌てて地面に伏せると、ズシンと地面が揺れた。
トラックの積み荷は結構ヤバい品目だったらしく、引火したのだ。
黒煙で青空が見えない。俺は予約してあった満喫に飛び込んでソファーで爆睡した。
こうなることは今朝からわかっていたからだ。
世の中、異世界があふれてる。
「奴隷幼女と一緒に王道を駆け抜けてみませんか? 生涯常勝を約束します」
安っぽい言説が俺の安眠を妨害する。
うるせえ。こちとら18時間連続勤務明けで、おまけに夕方から徹夜のシフトが待っているんだ。
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