神さまの言うとおり

3/6
前へ
/6ページ
次へ
結果に納得しないかったらしい少女の指先が 入れ替わりに猫のキーホルダーの前で再び静止する。 少年は流石にこれで決まったのだろう、と思った矢先。 「じゅ・げ・む・じゅ・げ・む・ご・こ・う・の・す・り・き・れ」 少女は指を動かしながら、その口から寿限無を唱えだした。 小学4年生が寿限無を唱えだすと予想だにしなかった少年は 少女のおまじないに口を挟む。 「いいよ、もう両方買ってあげるから。」 しかし、少女は年上の少年の提案は受け入れなかった。 「ヤダ!もう決まるから待って!」 長々と唱えられる寿限無に、ようやく終りが見えてくる。 「……ぽん・ぽこ・ぴー・の・ぽん・ぽこ・なー・の・ちょー・きゅー・めー・の・ちょーすけ!」 ついに少女の指は犬のアクセサリーの前で止まった。 年上の少年は、もう動かないだろうな、と少女の顔を覗き込もうとすると 少女は不意にこちらを振り向いた。 「神様がこっちだって。」 少女は満足した笑みを浮かべていた。 その笑顔にはホクホクという言葉がよく似合う。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加