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結果に納得しないかったらしい少女の指先が
入れ替わりに猫のキーホルダーの前で再び静止する。
少年は流石にこれで決まったのだろう、と思った矢先。
「じゅ・げ・む・じゅ・げ・む・ご・こ・う・の・す・り・き・れ」
少女は指を動かしながら、その口から寿限無を唱えだした。
小学4年生が寿限無を唱えだすと予想だにしなかった少年は
少女のおまじないに口を挟む。
「いいよ、もう両方買ってあげるから。」
しかし、少女は年上の少年の提案は受け入れなかった。
「ヤダ!もう決まるから待って!」
長々と唱えられる寿限無に、ようやく終りが見えてくる。
「……ぽん・ぽこ・ぴー・の・ぽん・ぽこ・なー・の・ちょー・きゅー・めー・の・ちょーすけ!」
ついに少女の指は犬のアクセサリーの前で止まった。
年上の少年は、もう動かないだろうな、と少女の顔を覗き込もうとすると
少女は不意にこちらを振り向いた。
「神様がこっちだって。」
少女は満足した笑みを浮かべていた。
その笑顔にはホクホクという言葉がよく似合う。
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