0人が本棚に入れています
本棚に追加
* * *
帰り際、西日の中の土手沿いを歩く二人。
手の中のキーホルダーを満足そうに見つめる少女を横目に
少年は心情を漏らした。
「まったく、どっちも似たようなもんじゃんかよ。」
6歳年下といえど、少女は女性だ。
高校生になったばかりの少年には、
女性の複雑な考え方をまだ理解できなかった。
「あー、神様が決めたのにそんな事言うと怒られるよ。」
少女の両の外眉が上がり、口を尖らせる。
「たまに来たかと思えば、文句ばかりなんだから。
おばさんに言っちゃおっかなー。
お兄ちゃんの口が悪くなったって。」
少女は悪戯そうな顔を見せて少年の顔を下から覗き込む。
思わず少年は目をそらし、空を見上げながら言った。
「そうだな、神様が決めたんだもんな。
文句はないよ。でも……。」
少年は少女の顔を覗き返し、不思議そうに聞いた。
「なんで2つは嫌なのさ?」
突然視線を合わせられた少女は、
大きく目を見開きすぐに視線を落とす。
「だって……」
少女は少し間を開けてから続けた。
「好きなものが2つあると、好きな気持が半分こになっちゃうでしょ?」
「ふーん、そんなもんかね。」
最初のコメントを投稿しよう!