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その後、二人の間には沈黙が流れた。
そして、もう暫く行くと、少女の家に着こうという頃。
「……今度はいつ遊びに来るの?」
先程までの元気のいい語調とは打って変わって、
消え入りそうな声で少女は問いかけた。
いたたまれない気持ちになった少年は
こう答えた。
「んー……。じゃぁ、夏休みにも来るよ。」
その瞬間、少女の顔はぱぁっと明るくなり
再び先程の元気な調子を取り戻した。
「やったぁ!私、楽しみにしている!」
あまりの変貌ぶりに少年は、
反射的に予防線を張る。
「おいおい……。
次は入学祝いがあるわけじゃないからな!
今回みたいになにか期待されても困るぞ。」
夕焼けに照らされてか、頬に赤みを帯びた少女は
満面の笑みを少年に向けて言った。
「私はお兄ちゃんに会いたいだけだよ。」
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