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キリは縋って泣くノノの背中に優しく手を置く。
「私が部活を頑張っていた時も…今、病気で脚が動かなくなっちゃっても、私の傍にいて、なんとかしようって思ってくれて、私の為に泣いてくれる。私のために苦しんでくれる。それを見ると、私が励ましてあげなきゃって思って落ち込んだ気分が無くなっちゃうの。私にとってあなたが神様なんだよ」
その時のノノは、彼女の慰めの言葉を受け入れられなかった。
「わ、私が、神様なら…治すよ!すぐ、治すよ…!」
「駄目なんだよ。神様でもね、ずるはできないんだよ」
「ずるなわけないじゃん!誰かを助けたいって思って、悪いわけない…」
どうして、ばかりが頭に浮かんでしまいノノはもう言葉が出なかった。
「うん、ノノちゃんの考えはすごく素敵だと思う。だから、ね?」
心から彼女は笑う。
「私が、病気にかかっても、遠くに行っちゃうとしても………今、すごく幸せだってこと、信じて?」
ノノは返事ができなかった。目から溢れてくる熱いものが次々に頬を伝ってどこかへ落ちていく。親友を困らせているというのに、何度拭っても止めようがなかった。
キリはただノノの傍に居た。徐々に動かなくなる身体は一番辛いはずなのに、泣き喚くノノの傍で困ったように笑っていた。力のない手でノノの汗だらけの背中を優しく撫で続けた。
ノノはただ、申し訳なさに打ちひしがれるしかなかった。
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