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『
霧子さんへ。
お久しぶりです。野間 希望です。ノノちゃんとかのぞみちゃんって呼ばれていた、野間です。
敬語は、変かな。あんまりに長く連絡を取らなかったから、どんなノリで話してたか思い出せないや。幼馴染なのにごめんね。
もっと謝らなきゃいけないことがありました。
病気と闘うあなたに、連絡の一つも寄越さずごめんなさい。
ある日、ぷつりと連絡が来なくなってしまうのではないかと恐ろしくて、私は遠くへ行ったあなたにメールを送る事すらできませんでした。
一番の親友が居ない卒業式は、あまりに寂しかったです。
大学はなんとか受かりました。キリちゃんが私と会った時、私が怠けていたらかっこわるいからマジで勉強しました。 おかげでそれなりの大学に入学しました。
私の話はこれくらいかな。キリちゃんはあの夏のお百度参りを覚えてますか?
私はずっと覚えていて…今の今になって、ようやく向き合う勇気が出てきました。
遅くなって、本当にごめんなさい。あの時素直にあなたの優しさを受け取れず、笑顔で見送れなかった私を怒っていますか?
あの日の事は本当によく思い出します。
あの日、傍に居てくれることが本当に嬉しかったと言ってくれたのに、』
ここで、私の手が止まった。
あの日、傍にいてくれてありがとうと言ってくれたのに、私は数年もの間彼女に声をかけなかった。
沈黙してしまった私を彼女は怒っているだろうか?恨んでははいないだろうか?
それを確かめるのは怖かった。しかし…もし今も信じ続けてくれているのであれば、これ以上裏切るわけにはいかない。今この瞬間、彼女が苦しんでいるかもしれないのであれば、助けたい。
私は再びキーボードを打ち始めた。
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