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夏の盛りを迎える頃、ただでさえ凶器じみた日の光に加え、アスファルトの照り返しの熱を一身に受けながら二人の少女が坂を上っていた。一人は半袖ハーフパンツの動きやすいスポーツウェアで車椅子を押している。もう一人は車椅子に腰かけており、涼し気な服を着て大人しく押し進められている。二人とも化粧っ気はないが、身に着けたお揃いの髪留めは渋い色で大人らしさを意識していることがうかがえる。どうやら二人とも女子高生のようだ。
一人は、もはや制汗剤も流れ落ちるほど汗をだらだら流し、呻きながら車椅子を押していた。
もう一人の車椅子に座った少女は、暑そうに自分の顔と後ろにいる友人を交互にうちわで仰いでいた。
「はあ、はあ」
「ねえ、ノノちゃん、どこに行くの?」
ノノと呼ばれた車椅子を押す少女は額に貼り付いた前髪ごと汗を拭う。この酷暑の中、笑顔でいられる姿は快活な少女という印象を受ける。実際彼女らの身体のラインははすっきりとしていて、スポーツをしている人間の体つきだった。
「いいところよ」
時と態度と場所を間違えたら大変な誤解を受けそうな発言をして、ふーっとひと息つく。
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