風祭にて

2/20

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
「『働き方改革』って……鉄研のみんなの役割分担を変えようって話だったけど、結局無理でしたね」 「詩音くんを中心に部費財源となる部誌など、発行点数の『倍増』による印税倍増を狙ったのだが」 「あれのせいで詩音ちゃんと私がやることが増えすぎてしにそうになりましたよ。『マッハ新書』じゃないんですから」 「労務管理の面で失敗してしもうた!」 「力強く言っても失敗は失敗です!」 「うう、しかし! ここは少数精鋭で模型製作を頑張るのみ!」 「もー。仕方ないですよねえ」  ふうとツバメはため息をついた。 「途中、小田急のコマーシャルによく使われることで有名な第二菖蒲トンネルの様子もここで観察。模型による再現のための取材とするのだ」 「そういえば私と総裁と二人だけで旅行ってこれまでなかったような。いつもはみんなと一緒だから」 「ほかの皆は部室で、今年の夏の展示のための模型作りに邁進しておるからのう」 「総裁、それなのに今何ケータイいじってるんですか」 「うむ、ちと考えることがあっての」 「取材なんだからちゃんと写真撮らなきゃダメですよ。ヒドいッ」 「さふであるな」  総裁は操作を終えると、また窓のそばに立った。 「しかしこの四十八瀬川付近の小田急線は山深くてローカルムードたっぷりで良いのう」     
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加