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「うむ、我々もいつか、あのクルマの前展望席に乗りたいのう」
「でも、誰だっけ……?」
ツバメはいぶかしむ。
「それよりこのままでは駅構内の踏切が渡れないので、あのロマンスカーを撮るのが難しいぞよ」
二人は慌てて電車を降りる。
「……撮るとしても、この構内踏切の柵の隙間から撮るしかないですね」
「うう、撮りにくいのう」
「あっ、ペットボトルのお茶、ホームに落としちゃった!」
「あれはあとで拾うのだ」
「そうですね! 写真!」
ツバメはカメラを構えている。
「まあ、今回は模型作成のためのロケハンが目的であるのだ。車両撮影は二次目標であるのだな」
「でもせっかくだから撮りたいー!」
「うぬう、ここはジレンマであるのう」
「無理にでも撮っちゃう!」
「さふであるな」
「いっちゃった……」
「列車の後尾というのもまたなんとも情感があって良いのう」
「でも2時間ちょっとでまた来ちゃうんですよね」
「それはおそらく我らが取材を終える頃であるのう」
「あと、駅員さんに私たちの慌てぶり、笑われてる気が……」
「斯様なこともあろうの」
「それどころじゃないです! 恥ずかしいです! ヒドいッ」
「気を取り直して、模型作成のための現地取材、がんばるのだ」
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