風祭にて

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「いつもの私達鉄研の円陣くんでの『ゼロ災で行こう、ヨシ』コールは省略ですね」 「うぬ? やらないのか」 「だって恥ずかしいですよ……」 「輸送の使命の第一は安全であるぞよ」 「でも……ふたりだけですし」 「……まあ、よかろう」 「でも駅前のこの枝ぶりの見事な松、ステキです!」 「駅におるおじいさんが自慢げに案内してくれたのう」 「再現したいですね、これ」 「ちょうどいいランドマークであるな」 「あと電柱が一つの交差点に3本も立ってるの、面白いですね」 「おそらく普通に電線を張ると踏切で線路や電車の架線と交差してしまうので、ここで電線網に無理が生じておるのだろうの」 「でも、なんでこの駅、風祭駅っていうんでしょうね」 「そもそもこの小田原に近いこの地域を鎌倉時代、風祭氏という地頭が治めておったらしい。風祭とは二百十日という台風の特異日の嵐を鎮めようという祭りでもある。全国にこの風祭の例があるらしい」 「でもなんかライトノベルに出てきそうな、風雅な地名ですね」 「うぬ? このワタクシたちの話はそもそも」 「もう! メタネタ乱発、禁止!」 「禁止なのか?」 「そうですよ。とぼけないで下さい、ヒドいッ!」 「この駅のそばの小川の水量が豊かでいいですね」     
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