1人が本棚に入れています
本棚に追加
風祭にて
風祭にて
夏の緑の中を走り抜ける銀と青帯、小田急線の小田原行快速急行に総裁とツバメは乗車していた。
「やっぱり高校生にはロマンスカーじゃなくて快速急行が似合いますね」
「さふなり。これは断じて活動費不足による貧乏旅行ではないぞ」
エビコー鉄研の部長、総裁がそう力強く言い切る。
「何言ってんですか! 思いっきり活動費不足じゃないですか!」
従う部員・ツバメが思いっきり声を上げて怒ってツッコむ。
「うっ。それを言うてしまっては身も蓋もないぞよ」
「だって私たち、夏の展示の材料費にも困ってるんですよ。材料のプラ棒ですらケチって綿棒の軸まで使ってるのに。当然エバーグリーンのプラ材使いたいとこだって我慢してるし、結局今年は夏の鉄研旅行か模型の展示かどっちか諦めることにして、旅行はナシにしたんじゃないですか」
「ぐぬう、まさに我が鉄研の戦局はまさに硫黄島陥落後のように逼迫しておる。これを打開するためには本土決戦、模型製作での大戦果を期待する一点突破しかありえぬのだ」
「総裁の悪知恵ももう駄目ですもんね」
「ワタクシの『キラノミクス』に続く『骨太の方針』も『働き方改革』も途上なのである!」
最初のコメントを投稿しよう!