看板広告

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看板広告

 俺、知ってるんだ。  今図柄を一新している大きな看板。交差点の目立つ位置にあるから広告効果は抜群で、このご時世なのに、空きができたらすぐここに広告を出したいという依頼が殺到している。  でもこの巨大看板に広告を掲げた店は一ヶ月以内に必ず潰れる。そのことを俺は知ってる。  急に客足が遠のいたり、店主が病気に罹ったり事故に遭うなりして店を続けられなくなったり、時には火事などで店自体がなくなってしまったこともある。  理由は何であれ、ここに広告を出した店は必ず廃業してしまう。  どうしてかって? そりゃ誰かに呪われてるせいだろう。 潰 れ て し ま え  何度看板を新しくしても、店の紹介文や図柄の上に浮かびあがる真っ赤な文字。  最初目にした時は誰が何の目的で行ったイタズラかと思ったが、どうやらこれは俺にしか見えてないらしく、単なるイタズラではなく、誰かの呪というか怨念であるということを俺は察した。  最初にここに看板を出した店に何かあったのかな。それともここに看板を出したものの、潰れてしまった店の、店主達の世を恨む念が看板に憑りついてしまったのか。  何にしろ、この巨大看板に広告を出した店は必ず潰れる。  でも俺はその理由を誰にも話してはいない。たって、人に言ったところで信じてもらえそうにないし、この看板は塗り替えるとなるとそれなりの金額がかかるから、会社が潤って臨時のボーナスが出るんだ。  その回数が増えるから、看板一新はむしろ俺にとっては好都合。そりゃ内緒にもするってもんだろう。 看板広告…完
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