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理由?
そんなもん知るか。もしそんなものあるんだとしたら、こんな世界にしたお偉いさんたちが悪いってことじゃねえのか?
人類への警告が何度もあったろうが。
オレみたいな頭の悪いやつでもわかっていたさ。
なのに、お偉いさんたちは自分たちの保身ばかりでなーんも対策してこなかった。
たくさんの人が犠牲になったよ。
すでに始まっていたのに各国のお偉いさんたちは大事になるまで隠ぺいしてた。
それに奴ら食料も水も何もかも準備された安全な場所へ自分らだけ避難しやがった。
頭に来たのはオレたち庶民が逃げまどい、襲われていくのを監視カメラで見ていたことだ。あいつらのことだ、皆でワインでも飲みながら楽しんでたんじゃねえの?
ふん、国民は虫けら以下っつーことさ。
さらに最悪なのがオレ。
オレはまだ生きてたんだよ。他の奴らの血にまみれていただけ。顔が怖かったからって? ふっ、この顔は持って生まれたもんだよ。だけど心は普通。自分で言うのもなんだけどさ、むしろ優しくて勇敢だった。これでも何人もの老若男女を助けたんだぜ。政府が見殺しにしようとした人たちをな。
だがな、塀の中に逃げ遅れたオレを人々はゾンビだと言って入れてくれなかった。
もちろんその後、本物のゾンビにやられちまったよ――
ああ。恨んじゃいねえ。仕方ねえよ。もし同じ立場だったらオレもそうする。
だけどそんなことはどうでもいいんだ。
もうこの世界は生きてる死人だけで成り立ってんだよ。
本当に生きているのは安全な場所に避難した一握りの人間だけ。あんなとこにいたっていつか食料も水も尽きちまうっていうのにな。
ふふ、そのいつかはもうすぐだ。
なのにあいつらこの世界を恐れてあそこから出て来れねえんだぜ。あとは餓死を待つだけなのに。
いや、もしかしてお互い人肉を喰らい合うかもしれねえな。ゾンビでもねえのに。それでもやがて死ぬ時が来るんだ――
オレたちは死んだけど生きている。
あいつらはただただ死んでいくだけ。
はっ、愉快じゃないか。
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