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「おまえ、結局大学どうしたの?」
皐月は地元の国立大学と東京の私立に合格し、地元に残れと言う両親を説得中とは聞いていた。
「今聞く?奏衣先輩、ほんと俺のことに興味ないよね。やーっと聞いてくれたし。今日もう卒業式なんだけど」
「いや、どうすんのかなとは思ってたけど…」
東京の大学に行きたいのは特にやりたいことがあるからではなく、奏衣が行くからだと皐月が零したことがある。
田舎の男子校で期間限定の恋愛ごっこ。ゲイが珍しいから男を試してみたいという興味本位で、脅迫まがいに始まったつきあいだ。
だから、奏衣には話の続きが聞けなくなった。雰囲気に流されるようなことを言われては堪らない。
「奏衣先輩さ、俺に付きまとわれるから仕方なくって体裁壊したくないんでしょ?じゃあ今日も仕方なく流されとけば」
「そうだよ、仕方なくだよ。あんたゲイでしょ?つきあってって会っていきなり言われて、あ、こいつただ男に興味があるんだなって思うだろ?」
「奏衣先輩、今もそう思ってる?」
ーー 今もそう思ってる?俺は皐月のこと、どう思ってる?
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