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あの日から1ヶ月が経った。
今日は、会社の飲み会。
あたしは、慌ただしく仕事をしていた。
「谷澤さん、戸締りよろしくね!駅前のヒロカワだから。」
所長から言われ、あたしは返事を返した。
飲み会の開始時間まであと1時間。
みんな一旦、家に帰って着替えるらしい。
あたしは私服だからそのまま向かうことにした。
会社の電話が鳴った。
モニタを見ると“佐々木巧真携帯”と出ていた。
「お疲れ様です、谷澤です。」
『お疲れ様です。佐々木です。』
「どうしました?」
『まだ谷澤さん、居る?』
「はい、そろそろ戸締りしようかな?って。」
『じゃ、ちょっと待ってもらえるかな?』
「わかりました。」
受話器を置き、あたしは鏡の前へ急いだ。
髪型を直したり、お化粧を直したり、パタパタと動いていた。
電話を切って、だいたい10分くらいして佐々木さんは、事務所にやってきた。
「あった。あった。」
佐々木さんは、自分の机の引き出しを開けて喜んでいた。
「カギ?」
「そう、家の鍵だよ。今日から3日間、親がいないから。」
「大変ですね。」
「いや、大丈夫だよ。一人暮らししてたこともあるから。自炊できるから。」
「へぇ~。」
「あ、そろそろ戸締りして行こうか?車、乗って?」
「ありがとうございます。」
戸締りを2人で始めた。
「なんか雲行きが怪しいな。」
どんよりと黒い雲が増えてきた。
「もしかすると・・・」
と佐々木さんが言いかけた瞬間
大粒の雨が降り出した。
ゲリラ豪雨だー。
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