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「ちょっと、そこの『原作者』の方、聞こえてますっ? あのですね。この『紙様』が、『神様』だと答えたとして、それって、嘘ですよね。『妖精』なんだし。本人も、『神様』ではないと言っているのに、無理やり『神様』と言わせようとしたんだから。ここに真実の『神様』は登場してないですよ。それって、違反ということで、審査の対象から除外されますよ。あなた、聞こえてますか?」
やや沈黙。
「やっぱダメだわ。多分、寝てる」
「ふーん。儂なんぞに、『神様』の知り合いはおらんしな、起きるまで待つしかないのお」
「それじゃ、締め切られてしまうよ」
――考えた。
「ねえ、『紙様』。今から『神様』と本気で称するというのは」
「運営側が納得するかねぇ」
「……」
「あっ、俺の場合も同じだ。やっぱり、本物の『神様』でなきゃアウトだ。しまった」
「どうしてくれるんだよお! 『原作者』のオッチャン、何とかしてくれーっ。俺の貧乏脱出計画はまたしても玉砕するのか……」
考えろ。考えろ。――そうだ!
「なあ『紙様』。アンタどうしてここに出現したんだ?」
「そりゃ、お前さんの祈りのせいじゃよ」
「えっ、祈りって? お祈りなんかしてないよ」
「昨日、叫んでたじゃろ。『百文字。百文字。百文字。雲満遠。雲満遠。雲満遠……、と。それで、儂が呼ばれたんじゃよ。」
それが、召還するの咒の言葉だったのか。
「じゃあ、『神様』を召還するには何と?」
「わからないなあ」
「知らないの?」
「儂は、『再生紙様』じゃよ。いわば、現在のいや、新世紀の妖精とでもいうか――」
「そんなことどうでもいいよ。どうするんだよ。もう、締め切りまで、一日なんだよぉ」
ホントもお、なんか、妙に疲れてきた感がある。
少し、酸素不足かな? でも、窓は空いてるし。でも、なんか息苦しい……。
そう、何か、重苦しいものがのしかかった気分だ。
――息苦しい、胸が痛い。体が痺れる……。
まさかこれって……、安易に、『神様』が降臨するってオチじゃないよね……。
『はい、その通りです。これしか、思いつかなかったです。はいっ』
「なんとくだらねえオチじゃ。もっちっと考えろっ!」
『だって、もうしんどいだもん。もう一回寝るーっ』
俺の体が、何者かに支配されていく。何か来る。何かやって来る……。
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