第四話 ランキング入りを目指すための方程式

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オンラインバトルゲーム『チェイン・リンケージ』の公式トーナメント大会は、第一回、第二回と不正が相次いだため、第三回公式トーナメント大会から、『チェイン・リンケージ』のモーションランキングシステム内で正式にランキング入りを果たした者だけが出場できる仕組みになっていた。 優香の問いに、春斗は振り返り、ぐっと身を乗り出すようにして語る。 「宮迫さんバージョンのあかりなら、あっという間にランキング入りできると思う」 「そうですね」 どこまでも熱く語る春斗をちらりと見て、優香は穏やかに微笑んだ。 そして一呼吸置いて、優香は淡々と続ける。 「なら、唯一の問題は、このままだと春斗さんはパンを購入することができそうもないということです」 「ああっ!?」 春斗達が売店にたどり着くと、既にカウンターの前に生徒達が群がり、熾烈な争奪戦を繰り広げていた。 完全に出遅れたーー。 その様子を見て、春斗は苦々しく痛感した。 このままだと、あの人混みをかき分けて前に進む頃には、パンのケースは空っぽになっている可能性がある。 優香に指摘されて思わず、声を張り上げてしまった春斗だったが、不意にあることに気づき、優香の方へと向き直った。 「ーーって、優香はいいのか?」 「私は春斗さんにお話があっただけなので大丈夫です」 優香がくすりと笑ってそう答えると、春斗はパンを購入するために、慌てて、生徒達の群れに分け入り、ぐいぐいと前へと進んでいったのだった。
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