第一話 魔術を使えるという少年には近づいてはいけない

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一度、口にしてしまえば取り返しのつかない、たった一つの言葉。 「本当に、あかり…‥…‥なのか?」 「…‥…‥あかりって、誰だ?」 春斗の言葉に、あかりはきょとんとした顔で不思議そうにこちらを振り返った。 迷う暇も考える必要もない。 それならば、導き出される答えはもう一つしかないからだ。 春斗は謎の義務感に急かされるように言葉を続ける。 「ーーなら、あんたはオンラインバトルゲーム『チェイン・リンケージ』の第一回公式トーナメント大会の準優勝だった宮迫琴音か?」 「うーん、まあ、そうかな」 「ーーっ」 あかりがてらいもなくそう告げると、春斗は糸が切れた操り人形のようにその場に崩れ落ちる。 喜べばいいのか、悲しめばいいのか、それさえも分からなかった。 「マジか」 春斗は改めて、あかりを見ながら頭を抱えた。 雅山あかり。 もうどこにもいない少女の名前。 眩しく輝く夢を、未来を掴みとるはずだった大切な妹の名前。 だが、それはもう叶わぬ未来。 終わった物語が再び、紡がれることはない。 だけど、俺は知っている。 妹が死んだその日から、俺と妹の物語は本当の意味で始まりを迎えたのだということをーー。
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