0人が本棚に入れています
本棚に追加
カーテンの隙間からこぼれる日差しが、意地悪く私に降り注ぐ。
はっと目を覚まし、時計を見ると、朝の6時30分。予定していた家を出る時間にさしかかっている。
いつの間にか目覚ましを止めていたようだ。
―いけない。7時には出社しようと思っていたのに。
慌ててベッドから飛び降り、床に散らばった書類をよけながら身支度に取り掛かる。もつれる髪の毛を無理やりまとめ上げ、メイクをしようと鏡の前に立った私は、思わず「はっ」と息を飲んだ。
むくんだまぶたの下にはうっすらと青い影。ここのところまともに寝ていないせいで、顔色も悪い。とても、人前に出て良いような顔つきではなかった。
―こんな日に限って!もう嫌!
叫びだしたいような気持ちに駆られながら、スポンジを掴んでコンシーラーを塗りたくり、チークとリップを重ねてひどい顔を誤魔化しにかかる。
朝ごはんを食べる余裕もないまま、玄関に脱ぎ捨ててあったパンプスに無理やり足を突っ込み、鍵をかけるのもそこそこに家を飛び出す。
柔らかい春の日差しから、夏に向けて鋭さを帯び始めた朝の日の光に思わず顔をしかめながら、駅までの道を急ぐ。
最初のコメントを投稿しよう!