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「わあ。きれい。」 思わず声を上げてしまう。 「やっぱり、これよね。」 おばあさんは、なおもこちらを見たまま、迷いのない手つきで、たくさんの色の中から一枚を取り出した。 淡い黄色のスカーフだ。 おばあさんは、胸の前でそれを広げる。その優しい色に魅せられ、私はスカーフをじっと見つめた。 菜の花色で縁取られた外枠に、内側はレモンイエローで上品に染められている。よく見ると薄炭色で何かが無数にプリントされている。じゃれ合う子どものゾウだ。様々な恰好をした子ゾウたちが、スカーフの中で楽し気な空間を生み出している。一見すると上品で大人っぽいが、隠し持っているキュートさも垣間見える。なんて素敵なアイテムなのだろう。 「これを、こんな風にして、こうしてこうやって…」 おばあさんは、鮮やかな手つきでそのスカーフを細長く折りたたみ、私の首元に巻き付けてくれた。ふっと、ゆっくりまばたきをするくらいの間に、ブラウスの襟元からゆったりと流れる彩が添えられていくのが分かった。 「ほうら。一気に明るくなった。」 おばあさんが差し出してくれた小さな手鏡を覗く。 さっきまでの青ざめた顔はどこへ行ったのだろう。自分の表情が明らかに変わったのが分かる。別人のようだ。 やっつけで塗ったチークやリップのピンク色も、首元の黄色に支えられて本来の輝きを存分に放っている。 この私なら、きっといける。
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