始まりの

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 屋上。告白や密会にはぴったりな場所だとは思うが、私の教室がある二階から行くには三階分も階段を上らないといけないので疲れる。  心の中で悪態をつきながら教室のドアを開けると、教室の窓側後方に位置する席に人がいた。怠そうにスマホをいじりながら机に腰掛け、足は椅子の上に置かれている。上履きだからまだいいが、外靴と兼用の学校だったならやめろと怒られても文句は言えない格好だ。  彼と仲の良い人ならば躊躇なく言えるだろうが、あまり知らない人だと怖くて言えないだろうけど。金髪にピアス。体格こそそこまで大きくはなく、平均的ではあるが、注意するにはそれなり勇気がいるだろう。 「こんな時間に教室に戻ってきたってことは、また告白? モテる奴は大変だねえ」  入り口で立ち止まっていた私をチラッと見て、スマホに視線を戻している。  こんな時間に人が残っているとは思わなかったので入り口で立ち止まってしまっていたが、中に入ってはいけないわけではないので鞄を取りに自分の席に向かう。 「桐島君は神城君待ち?」 「そっ。あいつも今告白されてるところ。体育館前と裏のダブルで」 「彼も大変そうね」     
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