始まりの

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 でも、それなりに話すことができて自然消滅や他に好きな人ができて別れることになっても良いと言ってくれる相手がいるのであれば、助かるのは間違いない。そんな都合のいい相手なんているはずもないか……いや、一人いる。この話を持ち出した本人で、今目の前にいる男。彼なら問題なく弾除けになってくれそうな気はするが、私からお願いするのは私が彼に気があるのではないかと思われても仕方がない行動だ。  嫌いではないと思う。他の男子と違って、私を特別扱いするわけでもなく、他の皆に接せるように自然と相手してくれる。彼と一番仲の良い神城君の存在というのがあるからだとは思うが、分け隔てなく接する彼の評判は悪くない。男子の人気トップは神城君だが、私はああやって馴れ馴れしくしてくるタイプは好きではないので、私の中の評価は低い。容姿に関しては目を見張る整った容姿だが、それなり以上であれば別にそれほど格好良さなんて気にしないので別にどうだっていい。  考えれば考えるほど、彼以上の相手なんていないのではないかと思ってしまう。もし告白されたら他の人と同じように振ることはしないだろう。付き合うかと問われると、その時の状況次第な気もするが、今日みたいに苛立つことはないはず。  さらっと。そう、なんでもないように言ってみようか。断られても、冗談だと笑ってごまかせる程度にあっさりと。 「あの、よかっ──」 「俺はやめといた方がいいよ。分け隔てなく接しているけど、興味がないわけではないから」 「へっ?」 「他の男子と違って自然に扱ってくれるからとか考えたんだろうけど、手に入らないものを必死に追う気はないだけだから」     
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