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この間の席替えで、私の左隣になったのは桐島君だった。鞄を取るために自分の席に向かったということは、自然と桐島君との距離も近くになっている。
机と机の間の距離。手を伸ばせば届くその距離を埋めるように、スッと桐島君の手が伸びてきた。
頬っぺたかは耳元にかけて温かな熱が伝わってくる。その温度に引き上げられるかのように、私の顔が一気に熱くなっていく。
「飛び込んでくるなら……食べちゃうよ?」
耳元で囁かれたその言葉に、私の思考はフリーズする。耳にかかる息で背筋を走るゾクゾクとした感じを隠すために必死に耐える。
「か、かかってきなさい! その代わり逃げるんじゃないわよ!」
「ふーん。じゃあ、これからよろしくね」
落ち着きなよ。まあ、こっちが逃さないけど。と横を通り過ぎながら、私の頭を軽く二回叩いて教室の外へと出て行った。
……あれ?やらかした?
咄嗟に出た言葉があれだったけれど、あれだとむしろ誘っているような……
「にゃぁぁぁあああああ!」
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