特別な日、とっておきの雨の日

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大にぎわいのお昼ごはんが終わり、午後はお昼寝の時間。満腹で眠気に浸る子もいれば、興奮冷めやらぬ元気な子もいる。 そんな子ども達をみんな集めて、今はお昼寝前の絵本の読み聞かせタイム。退屈そうな顔、既に眠そうな顔、今日の絵本にわくわくと期待する顔。みかちゃんはというと、ちょっとそわそわ。 お昼寝が終われば、いつお迎えが来てもおかしくないのだ。 子ども達の気と視線を集めた保育士が取り出したのは"おむかえ"と柔らかい自体で書かれた絵本。表紙には母親と男の子が手を繋いで歩く姿。裏表紙はそこに父親が加わって、三人で手を繋いでいる。 「はじまりはじまりー」 と物語の扉が開くと、ざわついていた子ども達は引き込まれるように静かになった。 ゆっくりと、なのにしっかりと染み込んでくる朗読の声。眠気とリラックス効果を存分に引き出すアルファー波でも出ているかのようで、元々眠かった子はうとうとし始める。絵本の続きが気になって目が冴えてきた子もいる。 絵本には、晴れの日、雲りの日、雨の日。雪の日、風の日、夕焼け空の日。毎日父親を迎えに行く親子の笑顔が描かれていた。
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