特別な日、とっておきの雨の日

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やがて子ども達は満足そうな顔で夢の世界へ散歩へ行く。みかちゃんもそわそわしていたのが嘘のようにぐっすりと眠っていた。 保育士は静かな保育室の真ん中で、箒を動かす手を止めた。 「気づいてる子もいますよね、今日は夕方から……雨だって」 子ども達の連絡帳に記入をしていた担任が顔をあげる。二人とも数年この保育園に勤めているのだから、七夕というイベントもその数こなしてきている。 もちろん雨の日もあったし、晴れて天の川がみられた日もあった。でも圧倒的に雨や雲りが多いのが、この季節なのだ。 「私達は嘘を吐くわけには、いかないからね」 子ども達には、夢や希望を胸にいつもキラキラと瞳を輝かせていて欲しい。でも、空模様が気紛れに晴れたり雨だったりするのと同じく、現実は思い通りにはいかないものだ。 「現実を教える事は必要かもしれないけど、それを真っ正面に突き付けても受け入れるのは難しいしね」 「他の事で気を紛れされるとか……」 すっかり箒に寄り掛かって、ため息。毎年同じような事で悩んでは、去年はどうしてたっけなぁと思いを巡らせる。 思い出す前にお昼寝の時間が終わってしまうのだけど。
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