2章

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2章

 カフェを出てからは、僕の家に向かうことにした。二人でアミューズメントパークとかに行くようなことはこれまでしてこなかった。周りに見せつけるための関係じゃなかったからだ。二人の間に、女性にするような気遣いはない。ショッピングに付き合ったり、スポットを回ってみたり、細かいことを言うと、エスカレーターでは上るときは後ろに、下るときは反対に前に、というような事柄だ。それが彼に対する礼儀だ。僕はいつもそう思った。赤い車に乗り込む。トヨタ製だ。会社は社員に対して見栄を張らせたがった。新築の広い家や、無駄にいい車、いい女、そんなものは気づいたら手に入っていた。欲しかったわけでも、欲しいと言ったわけでもなかったが、ほんとうにいつの間にか持っていた。会社というのは不思議な能力を持っているのだと感心したものだ。それが大学を卒業してから気づいた唯一の事例だ。これが世界の真実であってくれればいいのだが。  僕の家に着いた。二人ですることといえば、僕や彼が好む音楽を流しながら、本を読み、たまにしゃべり、また本を読むこと。それだけだ。  そこに二人がいるということが肝要だった。     
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